BINOS vol.1(1994)


BINOS vol.1:1-5(1994)
横浜市内の住宅地で27年間に観察された鳥類の増減
 畑 俊一

 【要約】

 横浜市保土ヶ谷区の住宅地の庭で26年間にわたって観察した鳥類の増減について報告した.

1.ヒヨドリ・キジバト・シジュウカラ・メジロ・コゲラ・ツミの6種は観察頻度が増加した.

2.アオバズク・コジュケイの2種は減少した.

3.ウグイスとスズメは一定の頻度で観察された.

4..観察頻度の増加した種について,その増加の要因を考察した.


BINOS vol.1:7-14(1994)
越冬地におけるニュウナイスズメの観察
 頼ウメ子・西條恭子

 【要約】 

 神奈川県小田原市と南足柄市において,1983年から1993年まで,ニュウナイスズメの越冬生態の調査を行った.

1..越冬地は南足柄市塚原地区と小田原市栢山,曽比地区の水田で,毎年定期的に越冬群が渡来した.

2.住宅に接した水田で多く観察された.

3.初飛来日は毎年10月20日前後であった.

4.毎年,最大個体数は150~250羽が記録された.

5.生息が確認できるのは10月中旬から4月中旬までだが,2月中旬から3月中旬の間は本調査地から姿を消し,その間の所在は不明である.

6.ニュウナイスズメは人家の屋根にとまらないなど,スズメと行動に違いが見られた.


BINOS vol.1:15-19(1994)
シジュウカラによるねぐら箱の選好
 藤田 薫・篠原由紀子

 【要約】

1.巣箱型のねぐら箱では,木製のねぐら箱の方が,紙製のねぐら箱よりもよく利用された.

2.紙製のねぐら箱では,筒型のねぐら箱よりも巣箱型のねぐら箱の方が,よく利用された.

3.設置してから使い始められるまでの期間は,木製のねぐら箱の方が,紙製のものよりも短かった.


BINOS vol.1:21-30(1994)
藤沢市清水谷戸の鳥類群集
 沼里和幸

 【要約】

 神奈川県藤沢市川名の清水谷戸において,生息している野鳥の種類,観察個体数の季節変化,および,谷戸のどのような場所を生活に利用しているかを明らかにするために,1992年11月から1993年10月にかけて,線センサス調査を行った.

1.出現した種は23科47種であった.出現月数と出現率から整理した主要種は,留鳥のトビ・コジュケイ・キジ・キジバト・コゲラ・ヒヨドリ・モズ・ウグイス・エナガ・シジュウカラ・メジロ・スズメ・ムクドリ・ハシボソガラス・ハシブトガラス,夏鳥のツバメ,冬鳥のツグミ・アオジの18種であった

2.出現種数は,4~5月に最も多く,次いで越冬期に多く,繁殖期には少なかった.森林で繁殖する夏鳥がほとんどいないことも,その1つの理由であろう.また,ヨシ原が,かなり広がっているが,オオヨシキリは,1度しか確認できなかった.

3.年間をとおして観察個体数が多かったのは,キジバト・ヒヨドリ・シジュウカラの3種であった.キジバトとシジュウカラは,繁殖期と越冬期に多くみられる2山型のパターンを示したが,越冬期の方が多く見られた.ヒヨドリは,繁殖期よりは,秋に多く見られた.秋の渡りの時期に大きな群れが見られたためである.他の留鳥も,スズメなどをのぞき,繁殖期よりは秋から越冬期にかけて多く見られるものがほとんどであった.

4.観察場所を,湿地,林,畑地,その他の4つに区分し,各季節に各区分でどのぐらい観察されるか,整理した.湿地は,冬には,冬の全体の観察のうち, 40%も観察され,シジュウカラなど水辺の鳥以外の鳥の採食での利用が多かった.清水谷戸においては,湿地は,越冬期の大切な餌の供給地と考えられた.

5.4~5月にシギ類が渡りの途中に,水が入って間もない水田に立ち寄るのが見られた.他の記録から,少なくとも10年くらい前から,清水谷戸近辺の水田や放棄田にシギ・チドリ類が毎年観察されているが,大部分の水田や放棄田が開発で失われており,最後に残っている清水谷戸の湿地は,シギ・チドリ類にとっては大切な所であると考えられる.


BINOS vol.1:31-48(1994)
相模川中流域の鳥類
 竹内 裕

 【要約】

 城山町の小倉橋から厚木市の相模大橋にかけての相模川中流の河川敷で,1981年から1992年までの12年間にわたって鳥類の調査を行った.

1..合計42科178種の鳥類が記録された.

2.越冬期の方が繁殖期よりも種類数が多く,また一時的に出現する種が全体の45%をしめていた.

3.チドリ類3種など合計30種の繁殖が確認された.

4..越冬期のカモ類は禁猟区になっている磯部地区で多数観察された.

5.河川の鳥類相を保全するためには,自然保護のための地域を設定すること,河川への車両の侵入を規制すること,全域を禁猟区とすることが必要と考えられた.


BINOS vol.1:49-54(1994)
金目川に生息するヤマセミの行動
 広瀬 博

BINOS vol.1:55-58(1994)
長野県におけるハチクマの繁殖についての小観察
 三戸順子

BINOS vol.1:59-67(1994)
1992年に横浜市港南区久良岐公園で観察された野鳥
 久良岐探鳥グループ

BINOS vol.1:68(1994)
シジュウカラの雄が巣作りを手伝った観察例
 金子紀子

BINOS vol.1:69-70(1994)
平塚海岸へのコアホウドリの漂着
 浜口哲一

BINOS vol.1:71-107(1994)
文献による神奈川県の繁殖鳥類目録
 平田寛重

BINOS vol.1:108-110(1994)
神奈川県内における希少な鳥類の写真記録 1
 日本野鳥の会神奈川支部鳥類目録編集委員会