BINOS vol.3(1996)



BINOS vol.3:1-8(1996)
アオバトの糞から検出された植物種子
 こまたん

 【要約】
1. 1995年5月~10月に大磯町照ヶ崎においてアオバトの糞を採取し食性を調査した.
2.検出した種子は同定できたもの13種(1681個),不明10種(102個)であった.
3.本種は,照ヶ崎に飛来する5月~10月には大量に採取できる果実を食べつなぎ,果実食に専門化していた.
4.ミヤマザクラとヤマブドウが糞に含まれていたことで,丹沢山地の標高1000m以上の高地から照ヶ崎に飛来していることが証明された.
5.ミヤマザクラの存在がアオバトの生息にとって重要な役割をもっていると考えられた.
6.7月~10月には未成熟の青いミズキとクマノミズキの実も食べていた.
7.種子散布の量と行動範囲の広さから,本種の種子運搬能力が高いと考えられた.
8.糞の中に小さな石が入っていた.


BINOS vol.3:9-15(1996)
アオバズクの繁殖に影響する人間の行動
 金子紀子

 【要約】
1.1989年から1994年までアオバズクの繁殖を観察した.
2.1993年,1994年については食痕,ペリット,糞を採集し調査した.
3.1991年からストロボ撮影をする人が増え始めた.
4.1992年の巣立ちはその他の年と比べ5日も早く巣立ったが,巣立ったヒナが2日経っても枝 につかまることもできなかったり,ヒナの巣立ち以前にも調理しただけで食べられていない餌が散乱していた等の異常が見られた.
5.1992年のアオバズクの巣立ちは,撮影者,観察者の多さ,特に夜間のストロボ撮影による繁殖妨害のため不自然に巣立ちが早まったものと判断した.
6.こうした人為的な影響を避けるために行った,パトロールなどの対策の内容とその効果について報告した.

BINOS vol.3:17-20(1996)
1994-95年に神奈川県下で保護された海鳥の記録
 中村一恵

 【要約】
1.1994-95年の間に,横浜市立金沢動物園動物病院に5種6例(コアホウドリ2例・オオシロハラミズナギドリ・シロハラミズナギドリ・アカオネッタイチョウ・トウゾクカモメ各1例)の海鳥が保護された.そのうち,同動物病院におけるリハビリの結果,コアホウド リ(記録2),オオシロハラミズナギドリ (記録3),シロハラミズナギドリ(記録4),トウゾクカモメ(記録6)の4種4個体が野外に復帰  (放鳥)された.
2.以上報告した5種6例の海鳥のうち,オオシロハラミズナギドリは県下から2例目,アカオネッタイチョウは3例目に相当する記 録となった.

BINOS vol.3:21-28(1996)
舞岡公園で越冬したアリスイの観察記録
 荒巻 玲子

 【要約】
 1994年11月から1995年3月まで,舞岡公園においてアリスイの行動を観察し,糞を1回採取した.

1.採食場所はヨシの刈り跡が多く(87.5%) ,全ての採食で地上採食が見られた.
2.採食方法は地面,ヨシの切株,木の根元などを嘴でつつく,舌でなめる,掘る,隙間に舌を差し込むなどであった.
3.他種の鳥や人をあまり恐れなかった.
4.糞の内容は,トビイロケアリであった.

BINOS vol.3:29-33(1996)
藤沢市西俣野で繁殖したチョウゲンボウ
 濱伸二郎

 【要約】
 1988年3月~8月までに観察されたことを要約すると,以下のようになる.

1.同じ橋で年2回の繁殖がみられ,1回目と2回目では巣穴を変えて営巣した.翌年も同じように,年2回の繁殖がみられた.
2.羽づくろいや休息および監視は橋のすぐ横にある,藤沢側の東京電力の送電鉄塔が主に利用された.
3.1回目の繁殖では雄は主に餌の運搬を,雌は抱卵とヒナの世話を分担した.
4.1回目から2回目の繁殖では,巣立ちから幼鳥の世話は3週間程度であった.(巣立ちは5月 16日の朝日新聞によると14日で あった.)
5.巣立ち後,8日目に2回目の繁殖をした番の交尾が見られた.
6.餌はスズメが主で,その他ネズミ類,アブラゼミが記録された.
7.7月31日,8時40分,地震の時はヒナが顔を出した.
8.1988年から1990年までの繁殖記録では図2に示した期間であった.

BINOS vol.3:35-40(1996)
川崎市におけるツバメの巣調べ
 荒 英子

BINOS vol.3:41ー42(1996)
スズメの雛に給餌したイワツバメ
 浜口哲一

BINOS vol.3:43-44(1996)
コアジサシの繁殖地の一例とその保護への提言
 田中和徳・田仲謙介・金子紀子

BINOS vol.3:45-46(1996)
鳥によって庭に運ばれてきた植物
 金子紀子

BINOS vol.3:47-49(1996)
シジュウカラ用巣箱を利用したアリ類
 篠原由紀子・藤田薫

BINOS vol.3:51-53(1996)
民家に住み着いたハクビシン Paguma larvata の糞内容物
 青木 雄司

BINOS vol.3: (1996)
丹沢産アナグマ Meles meles の胃内容物
 青木 雄司

BINOS vol.3:55-68(1996)
藤沢市少年の森の鳥類相
 高橋和也

BINOS vol.3:69-80
神奈川県下におけるコシアカツバメについて(復刻)
 横須賀高校定時制生物班