BINOS vol.4(1997)


BINOS vol.4:1-16(1997)
神奈川県内におけるイワツバメ Delichon dasypus の繁殖分布の変化について
 沼里和幸・市川恵三・唐沢良子・神戸邑・佐藤恭子・関野祥子・高橋満彦・田中和徳・田仲謙介・辻本勇・原一利・平田寛重・藤井明・藤井和子・頼ウメ子

 【要約】
 1996年の繁殖期に,神奈川県内のイワツバメのコロニーについて現地調査を行い,84年調査の結果と比較考察した.

1.28市町村で合計119箇所のコロニーを確認し,そのうち94箇所で確実に繁殖が確認された.84年調査にくらべ,8市町村で新たにコロニーを確認でき,湘南から三浦半島にかけて拡大していた.


2.藤沢市で引地川流域沿いに分布拡大が見られた.


3.コロニーの平均巣数は,最大に見積もって44.7巣であった.84年調査では71.5巣なので,コロニー規模は縮小していた.


4.コロニーの場所は,建物57%,橋43%で,84年調査に比べ,橋の利用が増加していた.


5.コロニーの約83%が,川やダムなどの水域から1km以内に形成されていた.コロニー形成の条件の1つに,水域が近いことが考えられるが,他の要因も否定できず,検証が必要である.


6.84年調査時のコロニーのうち,18箇所が廃棄されていた.そのうち,5箇所は糞害予防対策,ペンキの塗り替え,建て替えなどの人の影響によるものであった.他に,コロニーの廃棄の原因としてスズメの侵入も考えられたが,他の要因もからんで廃棄にいたることが予想された.

 


BINOS vol.4:17-22(1997)藤沢市辻堂団地におけるコシアカツバメの営巣とスズメによるコシアカツバメの古巣利用
 苗川 博史

 【要約】
 神奈川県藤沢市辻堂団地におけるコシアカツバメの営巣とコシアカツバメの古巣を利用するスズメの行動調査を行った.コシアカツバメが出入りしていた巣の形は,前年度までに作られた完全な形をしたものに加え,新たに造巣した巣にみられた.コシアカツバメは,何らかの形で営巣するために泥粒を運び,形あるものとして壁に粒状から痕跡,破損,完全な形をした巣を残した.そのうち,巣を作るために出入りしていたのは1993年度が2例(0.01%),1996年度が6例(0.04%)にみられた.一方,スズメがコシアカツバメの古巣を利用していたのは,1993年度が一部破損を含むコシアカツバメの巣117ヶ所のうち5ヶ所(0.04%),1996年度は117ヶ所のうち9ヶ所(0.08%)みられた.コシアカツバメは,特に東から西向きの巣の入り口に有意に営巣または造巣する傾向にあることがわかった.また,コシアカツバメの古巣を利用するスズメもコシアカツバメのそれと重なった.


BINOS vol.4:23-30(1997)
 
15年間で起こったツバメの分布変化とその要因 -神奈川県平塚市西部の例-
 藤田 剛

 【要約】
 
1..1980年代から現在までのツバメ Hirundo rustica の営巣数変化を調べるため,平塚市西部 の3.4kmx3.8kmに235個の調査区画を設置し,各区画で1980-82年と1996年に確認された巣数を比較した.

2.調査地全体で確認された巣数は,1980-82年の128巣から1996年の247巣へと増加していた.増加が認められた区画は,建て替えなどの変化がなかった牛舎がもっとも多く,それ以外に住宅地や商店街を含む区画があった.

3.個体数が減少した区画は,牛の飼育が中止されたり構造が変えられた牛舎だった.


4.カラス類 Corvus spp. による捕食やスズメ Passer montanus による巣の乗っ取りは,ツバメの巣数が増加した区画にも複数含まれていた.


5.1996年に確認された247巣の65%が1980-82年の巣の位置から30m以内に位置しており,ツバメが過去に使われた建物やその付近を巣場所として利用している可能性が考えられた.


6.以上の結果から,ツバメを増加させる要因として,巣場所を多く提供する牛舎のような建物が安定して存在することが重要であり,捕食は必ずしもその場所の営巣数減少にはつながらないと考えられた.


BINOS vol.4:31-39(1997) 
愛川町八菅山で記録された鳥類 2
竹内 裕

 【要約】
 筆者は1991年10月から愛川町八菅山で線センサス法による鳥類の個体数調査を行なった.

1.記録された鳥類は25科61種で,当地の出現率から渡り類別に分類すると,出現率の高い留鳥(R)17種,出現率の低い留鳥(R')12種,出現率の高い夏鳥(S)3種,出現率の低い夏鳥(S')8種,出現率の高い冬鳥(W)8種,出現率の低い冬鳥(W')12種,旅鳥(T)1種となった.


2.冬期に種類数,個体数が多く,夏期に少なかった.当地の種類数のピ-クは5月で,個体数のピ-クは3月であった.

3.繁殖を確認した種は18種,可能性のあるものは6種である.


4.繁殖期(5-7月),越冬期(11-3月)における優占種は前者がヒヨドリ-メジロ-スズメ-シジュウカラ-エナガ,後者はカワラヒワ-ヒヨドリ-メジロ-シジュウカラ-アオジがそれぞれ上位5種となった.


5.個体数の経年変化をみると、主要種の大部分については、多少の増減を繰り返している。著しく増加,減少の見られる種はないが,コジュケイ,ツグミ,スズメはやや減少している.
BINOS vol.4:41-46(1997) 
夏鳥の確認期間による繁殖の有無の判定  藤田 薫


BINOS vol.4:47-52(1997) 
年1回の調査での巣箱利用率は何を示しているか?
 藤田 薫

 【要約】
 1991~1996年の繁殖期,シジュウカラとヤマガラの巣箱の利用率と,捕食や放棄による損失を含めた産卵率,孵化率,巣立ち率を調査した.
完成した巣の数は,ほぼ,産卵された巣の数と等しかった.また,完成した巣の約1.5倍の巣に巣材が搬入されており,雛が孵化したのは完成した巣の約6割,巣立ち間際まで成長できた巣は,完成した巣の半分未満であった.これらの傾向は,年による違いはほとんどなかった
 また,捕食による損失を含めた孵化率の6年間の平均±標準誤差は0.48±0.06,巣立ち率は0.35±0.05であった.利用した鳥が確認された巣箱だけを対象にすると,ヤマガラとシジュウカラでは,孵化率には有意な違いはないが,巣立ち率に差があり,ヤマガラが孵化率約7割,シジュウカラが約5割,巣立ち率はヤマガラが5割強,シジュウカラは3割強であった.


BINOS vol.4:53-57(1997) 
オシドリの行動と好む環境の季節変化
 松田久司・篠原由紀子

 【要約】
 オシドリの越冬のためにはどのような環境を用意すればよいかを調べるために,三浦半島北部に位置する「横浜自然観察の森」で,オシドリのいた場所とその行動の調査を行った.この調査により,越冬時期の日没前後において以下のことがわかった.

1.オシドリの行動は,休息が最も多く平均±標準偏差は75.3±5.9%であった.


2.オシドリがいた場所については,特に傾向はみられなかった.

3.上空を木で覆われている環境を多く利用しており,平均±標準偏差は96.0±1.9%であった



BINOS vol.4:59-76(1997) 
サンコウチョウ Terpsiphone atrocaudata の観察
 -森戸川周辺における年2回の繁殖記録-

 君塚桂子・七五三掛紘子・山下信子・山田靖子

 【要約】
 1995年と1996年に三浦半島二子山においてサンコウチョウの繁殖生態について観察を行った.

1.2年間で18例の営巣を確認し,そのうち6例が巣立ちに至った.


2.年2回繁殖の確実な例として,1995年に1例,1996年に1例を観察した.


3.2回目の繁殖と平行して換羽が始まった.特に雄の換羽は雌よりも2週間早く始まり,抱卵期から冠羽,尾羽などの換羽に入り,1996年に観察した個体ではほとんど育雛に加わらなかった.


4.巣立った幼鳥は,巣立ち後17日目から自力で採餌を始め,30日前後で換羽が始まった.


BINOS vol.4:77-79(1997) 
夜間さえずるヤブサメの記録

 宮脇佳郎


BINOS vol.4:81-83(1997)神奈川県におけるチュウサギの繁殖初記録
 新倉三佐雄



BINOS vol.4:85-86(1997)カルガモの擬傷
 高橋満彦


BINOS vol.4:87-88(1997)ユズリハの葉をむさぼり食べるヒヨドリ
 浜口哲一


BINOS vol.4:89-90(1997) トビの巣に営巣したスズメ
 鈴木右エ門


BINOS vol.4:91-92(1997)丹沢山中で拾得したオオコノハズク幼鳥の死体について
 青木雄司



BINOS vol.4:93-94(1997)大磯町におけるタヌキの食物に関する知見
 青木雄司


BINOS vol.4:95-98(1997)座間市の鳥類(追加種について)
 竹内 裕


BINOS vol.4:99-102(1997)神奈川県内における鳥類の写真記録 3
 日本野鳥の会神奈川支部鳥類目録編集委員会1