2008.9.3 国土交通省 谷垣禎一 様 神奈川県知事 松沢成文様 川崎市長 阿部孝夫様 独立行政法人都市再生機構 理事長 小川 忠男様 日本野鳥の会神奈川支部 支部長 鈴木茂也 多摩川河口ウエットランド構想について(要望) イメージ図へのリンク 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は、環境保全、野鳥保護 および私どもの活動について深くご理解を賜りまことにありがとうございます。 さて、川崎市川崎区殿町3丁目地区の整備に関して、以下に示しました「多摩川 河口ウエットランド構想」についてご検討いただけるよう要望いたします。 1.ウエットランドの再生 東京湾全域では、これまでにウエットランド(湿地)の95%以上が消滅してしまい ました。多摩川河口は現存する貴重なウエットランドです。都市再生機構所有地であ る殿町3丁目地区の整備については、河川環境と一体の自然再生を原則とした整 備をお願いします。 ①ワンド(入り江)の造成 殿町3丁目地区に、多摩川本流から水路を造りワンドの造成を行う。 ・水深の深い池は、カモ等の繁殖地・越冬地として利用できる。 ・ヨシ原が形成されて、汽水域の水棲生物が生息できる。 ★絶滅危惧種 オオヨシキリ、カモ類 ②浅い湿地と砂礫地の造成 ・浅い湿地は、水棲生物や、浅い水辺で採食するサギ類が利用できる。 ・砂礫地はコアジサシのコロニー(大規模繁殖地)になる。 ★絶滅危惧種 コアジサシ ヒヌマイトトンボ ③ヨシ原の造成 ・水質浄化機能を高め、鳥類の繁殖地やトビハゼの隠れ場所になる。 ★絶滅危惧種 ヨシゴイ・トビハゼ ④干潟の保全 殿町地区に隣接する多摩川本流は、現存の干潟を保全再生する。 ★絶滅危惧種 様々なベントス(カニ、ゴカイの仲間などの底性生物)、シギ・チドリ類、 2.漁業等の再生 ①多摩川河口での自然再生は、漁業の再生でもあります。アサリ、シジミなどの 貝類、ハゼやアイナメ等の近海魚、アサクサノリなどの生業の復活が考えられます。 ②観光資源としての釣りや、潮干狩りなど地域住民にとっての恵みも期待出来ます。 3.国際空港羽田からの環境保全 ①羽田空港と川崎市の交通に、既存の道路、鉄道を利用することで、羽田空港 利用者に、「環境都市」川崎をアピール出来る。 ②国際空港に隣接した地域での自然再生は、国際的にもアピール出来る。 4.「東京湾ウエットランド研究センター」、「ウエットランド観察センター」の設置 ①現在、東京湾の湿地全体のネットワークは、拠点がありません。多摩川河口を中心 に東京湾の海と湿地を保全、再生する研究施設を設置して下さい。「東京湾ウエット ランド研究センター」は、東京湾内の湿地環境、汽水環境、海を結ぶローカルセンター でNPO形式での運営を行う。 ②市民生活から干潟や海が遠のいた現在、観察センターの活動を通して、身近な保 全・再生意識を高める必要があります。「ウエットランド観察センター」は、市民が観察 学習する拠点になります。 5.イメージ図面(別紙) 以上 |