BINOS vol.21(2014)
目次
齋藤仁志:カラスによるゴミの食い荒しの季節変動と曜日変動
Hitoshi SAITO:Weekly and seasonal changes in garbage collection sites scavenged by crows
要 約
1 2013年5月から2014年7月に金沢八景駅から相武隧道のバス停間で設定した調査ルートを路線バスで移動し、バスの中から目視でカラスによるゴミ集積所の食い散らかしと、集積所に集まるカラスの個体数を記録した。
2 収集所を「ポリ袋」、「ネット」、「容器」の3タイプに分けて記録した。調査終了時にはポリ袋0か所(0%)、ネット30か所(53.6%)、容器26か所(46.4%)であり、この結果と2000年の東京都と川崎市の収集所のタイプと比較してみたところ、調査地の方がはるかにネットと容器の普及が進んでいた。
3 ゴミの食い散らかしとカラスの数の季節変動は、それぞれ同じような傾向があり、夏は少なく、秋に増加、春に急増した。これらは、繁殖個体によるなわばり防衛行動の強化や、非繁殖個体の行動圏の変化、カラスの採餌内容の変化、周辺住民によるゴミ排出状況の変化などが関係している可能性があると考えられた。
4 ゴミの食い散らかしとカラスの数の曜日変動についても季節変動同様に類似した傾向があり、可燃ごみの日の火、土曜日が特に多かった。また、水~土曜日にかけて徐々に増加する傾向が見られた。可燃ゴミ収集日の翌日の水曜日と日曜日のカラスによる食い散らかしの数を比較したところ、日曜日の方が有意に多かった。これらの結果から、周辺住民がゴミ出しの日時をしっかりと守らないことが考えられ、特に週末はそれが顕著にみられた。
大塚智広・岩下明生・赤澤克磨・柳原千穂・安藤元一:デジタル式ラジオテレメトリー発信機の性能
Tomohiro OTSUKA,Akio IWASHITA,Katsuma AKAZAWA,Chiho YANAGIHARA,Motokazu ANDO:Performance of digital VHF radio telemetry
要 約
1 電波法が2008年に改正されてテレメトリー調査の電波使用に関する標準規格が制定された。
2 この規格に適合した発信器(サーキットデザイン社製の中型哺乳類用LT-11と鳥用のLT-02-2)の使い勝手を、従来型発信器(ATS社製 M2940)と比較した。
3 規格適合型と従来型の送信能力に大きな違いはなかったが、方向の定位は前者の方が困難だった。
4 LT-02-2の電波到達距離はLT-11の約半分である約1kmであったが、実際の定位作業は対象個体から100-200mの距離で行われることが多かった。
宮脇佳郎・金子明弘:三浦半島を縦断したミヤマガラスの飛行経路と飛翔速度
Yoshio MIYAWAKI, Akihiro KANEKO : The speed and route of a Rook Corvus frugilegus flying through Miura Penninsula2013年の神奈川支部行事
畠山義彦:ハシブトガラスの連携行動によるスズメの捕食
Yoshihiko HATAKEYAMA : Predation of a Tree Sparrow Passer montanus by Jungle Crow Corvus macrorhynchos teamwork
清水 海渡・東 ひとみ:アオダイショウに捕食されたフクロウの幼鳥
Kaito SHIMIZU, Hitomi AZUMA: Japanese Rat Snake Elaphe climacophorapreyed upon by a juvenile Ural Owl Strix uralensis
木元侑菜・清水海渡:神奈川県内で発見されたムササビの死亡個体について
Yuna KIMOTO, Kaito SHIMIZU : Carcass of a dead Flying Squirrel Petaurista leucogenys found in Kanagawa Prefecture
坂本朝美・木元侑菜・清水海渡:ジムグリが吐き出したヒミズについて
Atsumi SAKAMOTO Yuna KIMOTO and Kaito SHIMIZU : Japanese Shrew-mole Urotrichus talpoides expelled from a Forest Rat Snake Elaphe conspicillata
鈴木藤子:宮ヶ瀬春ノ木丸におけるタヌキ Nyctereutes procyonoidesとアナグマ Meles melesのフン場の利用について
Fujiko SUZUKI : The use of latrines by Japanese Racoon Dogs Nyctereutes procyonoides and Badgers Meles meles at Mt.Harunokimaru
羽鳥栄子・石野寿生:横浜市金沢区長浜公園で観察されたムクドリモドキ類と思われる個体の観察記録
Eiko HATORI, Hisao ISHINO : Observation record of Grackle species at Nagahama Park, Yokohama
青木雄司:モズのはやにえになったアブラコウモリ
Yuji AOKI : Japanese Pipistrelle Pipistrellus abramus impaled by Bull-headed Shrike Lanius bucephalus
鈴木茂也・宮脇佳郎・永嶋省吾・柴田久元・須藤伸三:横須賀市長井に渡来したシラガホオジロEmberiza leucocephalosの観察記録
Shigeya SUZUKI , Yoshio MIYAWAKI , Syogo NAGASHIMA , Hisamoto SHIBATA , Shinzo SUDO : Observation record of Pine Bunting Emberiza leucocephala at Nagai, Yokosuka City
鈴木史奈・金澤厚・桜井光雄・旭誠司:横浜ゴム平塚製造所における野鳥調査記録
Fumina SUZUKI, Atsushi KANAZAWA, Mitsuo SAKURAI and Makoto ASAHI:Observation records of birds around the Hiratsuka Factory of YOKOHAMA RUBBER CO,.LTD.
2013年の神奈川支部行事
2013年の保護研究部の活動
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執筆者紹介
後 記
編集委員:秋山幸也・青木雄司・藤井 幹・畠山義彦・石井 隆・古南幸弘・黒田清恵・渡邊謙二
英訳・英文校閲:石田スーザン
表紙イラスト:ハシブトガラス(作画・デザイン 秋山幸也)
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