1999年の保護研究部の活動



●鳥獣保護法改正について
●コアジサシの保護活動
●油汚染対策ボランティアの活動
●傷病鳥獣救護について
●鳥獣保護区の存続期間更新への意見書
●「野鳥観察田」について
●和泉川の河川改修に関する要望について
        

 1999年に,神奈川支部が関わった保護研究活動について,おもに行政担当部局に提出した書類を資料として示しながら,その経緯を紹介する.
 なお,1999年の活動でも,既に前号で報告した事例もあり,また本号で2000年の活動について取り上げた場合もある.
 1999年のもっとも大きな問題としては,伊勢原市高森のサギ山の伐採事件があった.
 この問題については,鳥獣保護法の適用範囲の議論も含め,いろいろな課題が残ったが,それらは本号の論文としてまとめられているので,それを参照されたい.
 また,県内のオオタカ営巣地の保護について,行政および事業者に保護の要望をした3件の事例があった.
 それについては,現在も問題が完全には解決しておらず,また営巣地の地名を公開できない保護上の理由があるので,本号での報告は見送ることにした.
 それについては,なるべく早い機会に記録に留めるようにしたい.

●鳥獣保護法改正について

 環境庁によって鳥獣保護法の改正が計画され,その過程で市民からの意見も積極的に聴取する姿勢がとられた.
 そのために,野鳥の会では本部が中心に関係諸団体との協議をしながら,さまざまな参考意見を提出し,支部でもそれに呼応して,個人名の文書をいくつか提出した.
 そのおもな争点は科学的な管理(生息地管理・個体数管理)を具体化する特定鳥獣保護管理計画と捕獲権限の地方分権(現在は国と県が管理している捕獲権限を鳥獣の種別に国・県・市町村に権限を委譲する)であった.
 また,この改正に平行して地方分権法という法律が施行され,県が持っていたさまざまな許認可権限が市町村に移行(事務処理の特例に関する条例)されることになった.
 鳥獣保護法関係では,有害鳥獣駆除の捕獲許可の一部が,市町村に移管されることになり,その対象種の選定について,数度にわたって県の担当者と意見を交換し,資料1のような要望を提出した.
 結果としては,横浜市・藤沢市・相模原市・三浦市・伊勢原市・清川村・津久井町・相模湖町が捕獲権限の委譲を受けなかった.
 捕獲権限が委譲された種は,マガモ,カルガモ,コガモ,ヨシガモ,ヒドリガモ,オナガガモ,ハシビロガモ,ホシハジロ,キンクロハジロ,スズガモ,クロガモ,エゾライチョウ,コジュケイ,キジ,コウライキジ,キジバト,ヒヨドリ,スズメ,ムクドリ,ミヤマガラス,ハシボソガラス,ハシブトガラス,ノウサギ,タイワンリス,シマリス,ヒグマ,アライグマ,タヌキ,オスイタチ,ミンク,ハクビシン,イノシシ(イノブタを含む),ヌートリア,ノイヌ,ノネコ,ドバト,ウソ及びオナガとなった.支部からの指摘で,チュウサギ・カワウは,市町村に委譲されなかった.
 また,鳥獣保護法改正に伴って,県の第8次鳥獣保護事業計画も改訂されることになったので,それについても資料2のような要望を提出した.
 他県では,愛玩飼養が全廃された県もあるが,神奈川県ではメジロ・ホオジロが愛玩飼養が存続し問題が残った.
 神奈川県の1997年度の愛玩飼養のための捕獲許可数はメジロ31羽であった.
 飼養許可書はメジロ150羽,ホオジロ9羽である.第9次鳥獣保護事業計画に向けて全廃を目指したい.

資料1.県に提出した要望書
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1999年9月23日
神奈川県知事岡崎洋様
         日本野鳥の会神奈川支部  支部長 浜口 哲一

「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」改正に伴う捕獲許可権限の市町村への委譲について(要望)
 日頃から自然保護行政の推進に努力されていることに感謝しております.

 さて,平成11年6月に決定された「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の改正に関連して,県の条例案の作成作業に入られていると思いますが,その中で捕獲許可権限を市町村に委譲する方針であるとお聞きしました.
 この点につきまして,条例上で決めた事は環境の変化等の対応が出来にくい面があります.市町村への委譲については,「県知事が別に定める」という形で条例上の整理をお願いします.
 具体的には,自然環境保全審議会での審議を考えています.

(参考)
神奈川支部として以下の種については,市町村への委譲をしない事をお願いします.
1.クロガモ・ウズラ・ヤマドリ・ヤマシギ・ニュウナイスズメ・チュウサギは個体数が非常に少ない.
2.ヨシガモ,ハシビロガモ,ウソ・タシギは個体数が少なく神奈川では有害性が指摘される事がない.
3.カワウ・ダイサギ・コサギ・ゴイサギについては,駆除の仕方によっては,個体群の存続に与える影響が大きい.
4.テン・アナグマは個体数が少なく,生息状況の把握が出来ていない.
5.シカ・サル・クマ・キツネ・イノシシについては,広域的な判断が必要である.
6.アライグマについては,市町村により捕獲駆除の対応が異なると問題なので,県に残す.
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資料2.県知事に提出した要望書
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2000年1月
神奈川県知事 岡崎 洋殿            
           日本野鳥の会神奈川支部 支部長 浜口哲一

第8次鳥獣保護事業計画改訂について(要望)

日頃からの自然保護行政の推進について感謝します.
さて,鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の改正に伴い第8次鳥獣保護事業計画の改訂作業を行っていると思います.
そこで,下記の要望をいたしますのでご検討をお願いします.



A はじめに
1.97年1月10日に提出しました当支部からの「第8次鳥獣保護事業計画の策定についてに関する意見」について,再検討して改訂にいかして下さい.

2.今回の法律改正は,「鳥獣の科学的管理」と「地方分権」が法律の中心です.
  今回の改訂については,科学的管理について具体的な内容を盛り込むようにお願いします.

B 有害鳥獣駆除に関して(環境庁基準の2.有害鳥獣駆除についての設置基準の設定)
1.過去5年間の各市町村ごとの有害鳥獣駆除の種類・許可件数・許可頭,羽数・実績数を鳥獣保護事業計画書の中に入れて下さい.

2.その上で予察表を策定する場合,科学的で具体的な方針を盛り込んで下さい.

3.今後予定されている第9次鳥獣保護事業計画においては,予察表策定のための調査予算を作り,さらに科学的な体制整備に努めて下さい.

4.捕獲権限を委譲した市町村担当部署を鳥獣保護事業計画書の中に書き入れて下さい.

5.市町村に委譲した種の有害鳥獣駆除の実績数が統計的に有意に多くなる場合は,具体的な執行状況とその理由を知事に報告させる事項を必ず設けて下さい.

6.哺乳類,カモ類については捕獲情報の蓄積のため捕獲物の提出,またはサンプルを提出するように捕獲実施者に対して求める事をお願いします.
  また,県の機関で継続的な捕獲物・サンプルの分析が出来るように体制作りをお願いします.

7.駆除対象種以外(例えばニホンジカの駆除)の鳥獣の繁殖に支障がある期間は駆除を禁止する条項を設けて下さい.

C 特定鳥獣保護管理計画(環境基準の6.特定鳥獣保護管理計画の樹立に関する事項)
1.現在策定中の丹沢シカ管理計画と整合性をもって,策定して下さい.

D 鳥獣保護センターについて(環境庁基準第7 鳥獣保護事業の啓発に関する事項)
1.自然保護センターの再編に伴い,普及啓蒙から調査研究体制への転換をお願いします.
   現在の救護体制内に救護個体の治療,調査,救護体制の整備など,具体的な整備計画を立てて下さい.

E 司法警察制度の充実(環境庁基準第8 鳥獣保護事業の実施体制の整備に関する事項)
1.伊勢原サギコロニー伐採事件などに,対処出来るように鳥獣行政職員に対して神奈川県警・検察庁などと連絡組織を作る事を強く要望します.

F 傷病鳥獣の保護(環境庁基準第9 その他鳥獣保護事業の実施のための必要な事項)
1.捕獲権限委譲に伴い,傷病鳥獣の捕獲については県で一括して許可が出せるような体制整備をお願いします.
  (民間救護機関が各市町村の捕獲権限を入手するのは非常な混乱を招く恐れがあります.)

G 愛玩飼養(環境庁基準第9 その他鳥獣保護事業の実施のための必要な事項)
1.愛玩飼養の許可は,すべて禁止する都道府県もあります.神奈川県でも是非踏み込んだ見解を示して下さい.
  不可能な場合も第9次鳥獣事業保護計画に向けた体制整備をお願いします.
  また,愛玩飼養の許可件数も鳥獣保護事業計画書に明記して下さい.

以上
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●コアジサシの保護活動

 神奈川支部では,県内のコアジサシの営巣地について情報収集と保護活動を地元会員を中心に継続的に取り組んできた.1999年の状況は下記の通りである.

・酒匂川
 1996年から継続して,富士道橋下の中州に人工台地を造成する試みを行っている.
 この試みは,頼ウメ子会員を中心とする本支部西湘地区のコアジサシプロジェクトチームが進めているが,1997年度から小田原市が事業として取り組むことになり,重機を使用して作業を行った.

・相模川
 北條文彦会員が継続的に調査を行い,海老名市社家の相模大堰下の中州と海老名市中野の中州の2ヶ所で繁殖が確認された.これらの繁殖地の経緯については,本号(p.85-95)に報告した.
 また,神奈川県厚木土木事務所が計画中の県立三川合流公園(海老名市)にコアジサシの繁殖地を確保を目的とした,計画変更を申し入れた.
 しかし設計変更案が,面積的に狭いなどの理由で見送りとした.
 今後,川の形状が変わり砂礫地が出来る事が予想される事から今後改めて具体的な提案をする事にした.1つの問題点としては,県の計画が公園完成後にボランテイアによる公園管理を考えている点である.
 計画の中に市民参加を認めずに,完成したら管理はお任せするという発想は,ボランテイア制度の導入を完全に取り違えている点である.

・東京湾
 1997年から営巣が確認された南本牧埠頭(横浜市中区豊浦町)のコロニーでは,横浜市港湾局の協力を得て,工事に支障のない場所に営巣地を確保することができた.詳細は,本号(p.83-84)に報告した.

●油汚染対策ボランティアの活動
 1998年に発足した油汚染対策ボランテイアは,野生動物ボランテイアセンターとの共催で「移動式水鳥救護オペレーションシステム」を開催した.
 この催しは,1999年8月29日に多摩川新丸子下流の河川敷で約500名以上を集めて行われた.
 このシステムはサントリー愛鳥基金から助成を受けて完成したもので,移動式の大型テント5張り,洗浄台や簡易式プールなどで構成されている.
 神奈川支部では,テントの設営や運営,水鳥の洗浄指導として参加した.
 2000年には,有珠山の動物救護活動にシステムは貸し出されている.
 油汚染対策海鳥調査は,6月に実施(未発表)されている.

●傷病鳥獣救護について
かながわ野生動サポートネットワークと共同で「かながわ野生動物救護フォーラム」を開催した.
第1回「だれが野生動物を救護するのか」1999年3月14日 フォーラムよこはま 約150名参加

 野生動物救護とは何か 羽山伸一氏(日本獣医畜産大学)
 野生動物救護における動物病院の役割 郷間雅之氏(ピア動物医療センター)
 パネルデスカション

第2回「21世紀のワイルドライフリハビリを考えよう」 11月21日 神奈川近代文学館 約80名参加
 自然保護における野生動物救護 浜口哲一(神奈川支部支部長)
 神奈川県の傷病鳥獣の実例 大窪和人氏(傷ついた野生動物から学ぶ会)
 神奈川県の傷病鳥獣救護体制 山本眞一氏(神奈川県環境農政部)
 アメリカミネソタ大学猛禽センターの活動 赤木智香子氏(獣医師)
 上記の2回の催しはWWF-J(世界自然保護基金日本委員会)の助成を受けて実施した.
 それぞれの講演内容は,印刷(第2回は2001年予定)して配布している.
 また,神奈川県傷病鳥獣保護連絡協議会に1999年度からNGOとして,かながわ野生動物サポートネットワークと神奈川支部が構成員として出席して,神奈川県の傷病鳥獣体制の整備に参加することになった.
 神奈川県の傷病鳥獣救護の中心施設である,県立自然保護センターが再編成されるという情報があり,傷病鳥獣救護事業の見直しと提言を含めた要望を下記のように行った.
 自然保護センターは,現在「自然環境保全センター」として再編成されたが,今後も体制が変化する可能性があるので,鳥獣救護体制について要望して行きたい.

資料3.神奈川県知事に提出した要望
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                 1999年7月
神奈川県知事 岡 崎 洋 様           
          日本野鳥の会神奈川支部  支部長 浜口哲一

県立自然保護センターの傷病鳥獣救護事業の扱いについて(要望)

 拝啓 日ごろからの自然保護行政の推進ありがとうございます.
 さて,神奈川県の部局再編成の一環として県立自然保護センターの再編成が予定されていると伺いました.
 当会では県立自然保護センターで行われている傷病鳥獣救護事業に関心を持っておりますが,以下に示した状況,理由で,再編成にともないその位置づけ,運営方法等について見直しを行っていただきたく,要望いたします.
 国レベルでは「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」の改正が予定され,県でも「丹沢大山保全計画」が策定されたところです.
 これらにより今後一層,県内の野生動物の適切な保護管理が求められることとなります.
 傷病鳥獣救護業務も例外ではなく,野生動物の保護管理の一環としての展開が望まれます.
 しかしながら,現状では以下のような問題点が指摘できます.

1.傷病鳥獣の救護は普及啓発の一環として位置づけられているが,救護点数の増加にともない受け入れ 体制も限界に達しており,普及啓発に十分活用されていない.
  また,救護個体から得られる様々な情報・データを野生動物保護に活かすための位置づけが不十分である.

2.傷病鳥獣救護部門は,専門的な知識・技術が必要とされるが,現行の県の人事システムでは専門家が育たない.

3.傷病鳥獣救護部門は絶滅危惧種の救護等,野生動物の保護に直接的に果たす役割が期待される一方で,有害鳥獣駆除と同一種を救護している矛盾を抱えている等,行政の枠に収まりきらない面がある.
  これらの問題点を解決する方策として当会は,傷病鳥獣救護部門を外部委託し,それによって野生動物保護に精通した獣医師等の専門的人材の確保を行うことを提案いたします.
 これによりさらに次のような利点があるものと考えられます.

1.多数のボランティアが関わることにより,マンパワーを十分に生かせる.
  ボランティアが野生動物リハビリテーターとして活躍することで,野生動物の普及・啓発活動,救護活動等にもきめ細かな対応が期待できる.また,油汚染事故等の緊急時にも多数のボランティアの速やかな対応が期待できる.

2.特定の人材(コーディネーター等)が長期に関わることにより,傷病鳥獣から得られる生物学的な情報の収集(科学的調査への協力),救護技術の向上,環境教育等への貢献が期待できる.
  行政は,このような団体と良好なパートナーシップを形成することにより,効率的且つ効果的な野生生物保護行政が推進されることが十分期待されます.

是非,傷病鳥獣救護業務の外部委託を含め,位置づけ,運営方法等について前向きな見直しを行っていただきたく,重ねて要望いたします.

                                         以上


●鳥獣保護区の存続期間更新への意見書

 平成11年6月11日付けで県自然保護課から依頼のあった,城南緑地,綱島など3ヶ所の鳥獣保護区の新設と,丹沢大山など3ヶ所の再指定および拡大について,賛成の意見書を提出した.
 意見書の例として,資料4を示す.
 また,平成11年8月18日付けで県自然保護課から依頼のあった,上和田野鳥の森,鎌倉,高麗山など10ヶ所の鳥獣保護区の存続期間の更新について,賛成の意見書を提出した.

資料4.丹沢大山鳥獣保護区の設定(拡大等)についての意見
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平成11年6月25日
神奈川県知事  岡崎 洋殿          
          日本野鳥の会神奈川支部  支部長 浜口 哲一

丹沢大山鳥獣保護区の設定(拡大等)についての意見

 平成11年6月11日付け緑政第11-1号で依頼のあった標記のことについての賛否および意見は次の通りです.

1.賛否 賛成

2.意見および理由の要旨
 神奈川県の屋根である丹沢大山地域については,先般,その環境管理についての基本計画が策定されましたが,その具体化の一歩として今回の鳥獣保護区の設定が行われたものと理解しております.
 特に,菰釣山の稜線部が鳥獣保護区に編入される方向性が打ち出されたことは,大型哺乳類の富士山麓方面との交流を可能にする措置として評価したいと考えます.
 また,猟区への編入地域の選定について,猛禽類の生息状況を加味して頂いた点も感謝いたします.ただし,丹沢山地においては,猟区から保護区,あるいはその逆の変更が,植生や小動物相など自然環境に変化をもたらす可能性があり,その変化を追跡し,望ましくない変化が目立ってきた場合には,必要な対策を講じるようなモニタリングが重要な意義を持つと思われます.
 そうしたモニタリングは,猟区の存在が丹沢の自然環境の保全にとってどのような意味を持っているのかを知る手段としても有効だと思われます.
 また,三保猟区は今回の追加部分も含め,数ヶ所で特別保護区と直接接しているという問題があります.
 少なくとも,猟区と特別保護区の間には,バッファゾーンとして,鳥獣保護区をはさむ必要があると考えます.
 今後の課題として検討をお願いいたします.
 以上のような補足意見をつけて,鳥獣保護区の設定に賛成します.
                                             以上
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●「野鳥観察田」について
 神奈川支部では,JA中央会,JA経済連など農業団体と協力して,生産調整田(いわゆる休耕田)の渡り鳥のための活用を提案してきたが,その提案が1999年に農水省によって認められ,2000年も継続された.
2000年には座間市,海老名市,平塚市で合計15ヶ所の水田が指定され,神奈川支部で飛来鳥類の調査を行った.

●和泉川の河川改修に関する要望について
 会員からの要望で,資料5のような要望書を提出した.


資料5.横浜市に提出した要望書
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平成11年3月10日
横浜市下水道局河川設計課長殿        
          日本野鳥の会神奈川支部 支部長 浜口 哲一

和泉川の河川改修工事における環境保全への配慮について(要望)

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.
 さて,貴課におかれましては,横浜市泉区和泉町内の和泉川の河川改修の計画を進めておられると聞き及んでおります.
 今回,計画を進めておられるいずみ野遊水池付近の和泉川は,現在のところ,比較的良好な自然環境が保たれており,野鳥としてはカワセミなどの生息が確認されております.
 こうした環境をなるべく保全し,市民の憩いの場として活用をはかっていくために,計画にあたって,下記のような点に留意して頂きたく,お願い申しあげます.
 参考までに,「水辺の学校をつくる」(建設省河川局河川環境課編)に紹介された,横浜市戸塚区の舞岡川の改修のようすを示した図を添付いたします.
 多自然型で,しかも地域住民の環境学習にも役立つ川作りを望んでおります.



・川幅は可能な限り広くとり,水辺の草地を確保してください.
・部分的に川幅の広い部分をとり,ヨシ原を作ってください.
・川岸に降りられる親水護岸は,全体の半分以下にとどめ,野生動物が休息できる条件を確保してください.
・土手の樹木の植栽が可能な場所には,ヤナギ類・エノキ・オニグルミなど,自然植生から選択した樹種を植えてください.
・深みを作り,魚礁状の工作物を設置して,魚などの隠れ場所を確保してください.
・護岸の傾斜を緩やかにして,水辺に近づきやすい部分を作ってください.
・計画の立案段階で,現地の状況に詳しい,本会幹事,倉川典夫氏からのヒヤリングを行い,参考としてください.

                                                   以上