BINOS vol.6(1999)


論文

1.竹内 裕:都市部を流れる境川における鳥類相の変化
2.藤田薫・東陽一・中里直幹・古南幸弘・大屋親雄
横浜自然観察の森における13年間にわたるタイワンリス Callosciurus erythraeus thaiwanensis の個体数変化

3.都市公園で越冬するヤマシギの生態
4.篠原由紀子:タイワンリスに樹皮食いされた樹木


観察記録                   

1.白銀正彦・白銀幸子:海老名市近郊におけるモズのハヤニエの観察記録
2.吉田嗣郎:オオタカの繁殖期6ヶ月間の観察記録
3.望月和芳:降雪の早朝より長時間におよぶ群飛行を行ったヒメアマツバメ
4.望月和芳:ヒメアマツバメが集団営巣している建築物における塗装工事の際の保護対策事例
5.塚田輝夫:鶴見川中流新羽橋から烏山大橋付近の鳥
6.浜口哲一:江ノ島に滞在したオオグンカンドリの行動について
7.大屋親雄:タイワンリスの貯食行動の観察


調査記録                   

1.日本野鳥の会神奈川支部西湘地区コアジサシプロジェクトチーム
酒匂川におけるコアジサシの繁殖状況と人工営巣地の造成について
2.日本野鳥の会神奈川支部:横浜市南本牧埠頭におけるコアジサシの繁殖状況
3.日本野鳥の会神奈川支部:相模川水系におけるカワウの分布状況調査(第2報)
4.日本野鳥の会神奈川支部:油汚染対策の一環としての海鳥の分布調査
5.日本野鳥の会神奈川支部:海老名市勝瀬の調整田に渡来した鳥類(1998年秋期)




◆ 論 文

竹内 裕:都市部を流れる境川における鳥類相の変化

 【要 約】

1.相模原市と町田市の市域沿いを流れる境川において,1991年1月から1992年12月と
  1997年8月から1998年7月にそれぞれ24日の鳥類の個体数調査を行なった.ラインセ
  ンサスの結果とその他の記録を合わせると,調査地付近では31科74種と逸出種1種を記録した.


2.年間の調査結果から1時間当りの平均個体数と出現率を算出し,3倍以上の差が生じたものを
  増加,3分の1以下になったものを減少とした.


3.この結果,増加したと判定された種はカワウ,コサギ,マガモ,カルガモ,コガモ,オナガガモ,
  セグロカモメ,メジロの8種で,減少と判定された種はタヒバリ1種であった.


4.増加要因としては,野鳥をはじめとする自然を大切にする人が増えているという社会的環境の
  向上が大きな理由と考えられた.



藤田薫・東陽一・中里直幹・古南幸弘・大屋親雄:横浜自然観察の森における13年間にわたるタイワンリス Callosciurus erythraeus thaiwanensis の個体数変化

 【要 約】


1.タイワンリスの個体数変化を明らかにするために,横浜自然観察の森で,1986~1999年に
 ラインセンサスによる個体数変化を,1991~1998年に巣箱利用数を,1999年冬に巣数を調べた.

2.1986年にはタイワンリスは確認されず,1992年と1993年には1kmあたり平均0.4頭前後,
  1996年と1997年には1頭以上,1998年には平均±標準誤差が1.85±0.56頭であった(図1).


3.タイワンリスによる巣箱の利用は,1993年まではなく,1994年に初めて1個確認され,1997年に
  最も多く,7個の巣箱がタイワンリスによって造巣された(図2).


4.巣は,1986年には1つも見つからなかったが,1999年には1kmあたり約10.7個あった.見逃し率を 考慮すると,1kmあたり49個の巣があったと推定された.


5.以上の結果から,13年間でタイワンリスおよびタイワンリスの繁殖数が急増したことが分かった.



高橋満彦:都市公園で越冬するヤマシギの生態

 【要 約】


1.横浜市舞岡公園でヤマシギの定点観測を行い、警戒、採餌等、活動中の行動を記録した


2.観察されたヤマシギは1ないし3羽で、定着し越冬していたと思われる。


3.ヤマシギは、昼間でも活発に活動していたが、午後、特に夕方に活動頻度が高まることが
  わかった。


4.ヤマシギが昼間でも容易に観察出来たのは、良好な湿地を維持し、立ち入りを規制するなど、
  公園の管理によるところも大きいと思われる。


篠原由紀子:タイワンリスに樹皮食いされた樹木


 【要 約】

 横浜市自然観察の森において、1998年6月から1999年5月までタイワンリスによる樹木の樹皮食いについての調査を行った。


1.タイワンリスは、11種の樹木の樹皮を食べていたが、特にミズキとタブノキを好んで採食していた。一方、エノキとヤマグワでは樹皮食いが認められなかった。


2.樹皮食いは、11月から5月のみに見られ、特に冬期に集中していた。このことから、冬期の餌の不足から樹皮食いが発生すると推定された。


3.採食される部位としては、太い枝,細い枝が幹や小枝に比べて多く、2月のミズキのみでは小枝
 が多く食べられていた。


◆ 観察記録

白銀正彦・白銀幸子:海老名市近郊におけるモズのハヤニエの観察記録


吉田嗣郎:オオタカの繁殖期6ヶ月間の観察記録

 【要約】

 造巣期:3月始めから前年に使った巣を補修する方法で行われ、およそ1ケ月に及んだ。
      巣材はスギやヒノキの枝、産座にはスギやヒノキの青葉が使われ、隙間にヒノキや
      スギの樹皮が使われた。この間雄雌の鳴き交わしや、交尾が行われ、雄雌のきず
      なが強化されるようだ。


 産卵期:4卵産み、1卵は無精卵であった。抱卵は1卵目から開始された。
       1卵めの産卵は立ったままで行われ、尻から体液が垂れ、約6分前から力みが
       始まり、その周期は最大10秒に達した。


 育雛期:孵化後7日~10日にかけて雛に唾液を与える行動が観察され、それに伴って、
       爪を噛む行動が観察された。その後は爪を噛む行動は観察されなかった。
       雛は孵化後7日ごろから餌を巡って争う様子が観察され、親が餌を巣に置き去
       りにするようになると、早く生まれた第一子が占有しがちになり、一子と三子が
       激しく争うようになった。


巣立ち期:雄と雌で巣立ちまでの日数が違い、一子と二子が雄、三子が雌と推定された。
       若鳥の最終確認は、9月20日で巣立ち後営巣木を中心に2km付近で生活し
       ていることが一例として観察された。


餌について:記録された総てを集計すると、スズメ大が19%・ムクドリ大が32.5%・ハト大が26.5%、全く不明が16%、カラスが3.5%、ネズミ2.5%であった。
その中で、ムクドリ大が最も多く、他の観察地で多いとされるドバトは16%程度だった(全く不明16%にドバトが若干含まれるだろう)。
ハシボソガラスが3.5%含まれ、オオタカがこの地域の食物連鎖の頂点にあることが分かる。
しかし、カラスは集団で襲う習性があり、オオタカが常に優位を保つとは限らず油断できない存在である。
1999年の記録では、前年と違う傾向が見られるので、機会があればまとめて発表したい。


望月和芳:降雪の早朝より長時間におよぶ群飛行を行ったヒメアマツバメ

望月和芳:ヒメアマツバメが集団営巣している建築物における塗装工事の際の保護対策事例

塚田輝夫:鶴見川中流新羽橋から烏山大橋付近の鳥


浜口哲一:江ノ島に滞在したオオグンカンドリの行動について


大屋親雄:タイワンリスの貯食行動の観察



◆ 調査記録


日本野鳥の会神奈川支部西湘地区コアジサシプロジェクトチーム

酒匂川におけるコアジサシの繁殖状況と人工営巣地の造成について

日本野鳥の会神奈川支部:横浜市南本牧埠頭におけるコアジサシの繁殖状況

日本野鳥の会神奈川支部:相模川水系におけるカワウの分布状況調査(第2報)

日本野鳥の会神奈川支部:油汚染対策の一環としての海鳥の分布調査