2005年の保護研究部の活動 

      

2005年の保護研究部の活動
2005年に、神奈川支部が関わった保護研究部活動について、資料を採録しながら、
その経緯を紹介する。

●カワウ関係
・酒匂川で漁業組合と協力して案山子作成と設置をしました。
 2005年3月5日 野鳥の会神奈川支部の行事として、酒匂川漁業共同組合と共同
でカワウ防除のための案山子作りを行いました。木材をトンカチで打ちつけて、カッパ
を着せたり、帽子をかぶせたりと思い思いに案山子を作成しました。野鳥の会神奈川支
部の研究報「バイノス11号」に酒匂川におけるカワウの漁業被害対策という報告もさ
れています。今後も、漁業組合と共同で対策を考えたいと思っています。

・日本野鳥の会関東カワウ情報交換会
(財)日本野鳥の会自然保護室では、関東地方の各支部を集めて情報交換会を行った。
(資料)情報交換会に提出した資料 
  2005.07.23日本野鳥の会関東カワウ情報交換会  神奈川支部
  ☆カワウ調査や対策等の取組み
  *1997年から相模川でカワウ個体数調査
   神奈川支部研究報BINOSに掲載
  *案山子や銃猟による追い払いの効果測定(本部・行政・漁協と協力して行っ
た)
 ☆協議会の設置や経過
  *神奈川支部でカワウフォーラムを主催(野鳥の会・漁協・行政・研究者・川のN
GOなどが   参加)し、問題点を話合った。現在は水産課で協議会を設置している

☆各都県の入漁料収入や放流量等の基礎情報

・関東カワウ広域協議会の開催
 環境省が事務局になり、関東地方の自治体・NGO・漁協・研究者が集まり「関東カ
ワウ広域協 議会」が開催されて、神奈川支部も参加しました。

●横浜市港湾計画に関するパブリックコメント提出
 横浜市の港湾計画に関係して以下の意見を提出しました。干潟の復活や、コアジサシ
の営巣地を是非、横浜市の湾岸地域に作りたいと思います。

(資料)横浜市に提出した意見
横浜市港湾局長様
                        日本野鳥の会神奈川支部支部長 
鈴木茂也 
            横浜港港湾計画に対する意見
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃は、環境保全、野鳥保護および
私どもの活動について深くご理解を賜りまことにありがとうございます。さて貴職にお
いて現在改定作業の行われております横浜港港湾計画につきまして、野鳥保護の観点か
ら以下意見を申し上げますので、よろしくご検討の程をお願いいたします。
1.やさしい港ヨコハマの充実をお願いします
 港湾計画は「生態系が保全・再生され、地球環境の問題解決に貢献する横浜港の実現
を目指します。」との基本目標を掲げています。しかし、「生態系の保全再生の課題」
として具体的に挙げられているのは、「広域的な防災拠点」「廃棄物や建設発生土の処
分地」の2項目のみです。
 横浜港は、自然海岸を埋め立て造成されてきました。干潟環境、砂礫地や後背地のア
シ原など、自然海岸の持っていた環境を積極的に復元することで、生物の多様性を回復
させる方向性を打ち出していただくようお願いします。
具体的には次のような自然再生を提案します。
・コアジサシ(環境省レッドデータブック絶滅危惧種Ⅱ類)営巣地の保全・再生
コアジサシ(環境省レッドデータブック絶滅危惧種Ⅱ類)の繁殖が、横浜市南本牧埠頭
、本牧ふ頭埠頭、瑞穂埠頭で続いています。貴職におかれても、コアジサシコロニーの
保護について、様々な努力と工夫を続けてきて頂き大変感謝しております。これらの営
巣地は、工事の途中で一時的にできた、海岸砂丘や河川敷に似た裸地の環境を利用して
いるものですが、工事が完全に終わってしまうと営巣環境がなくなってしまいます。こ
うした裸地の環境も海岸に生息する生物にとっては貴重な生息環境の一部です。今後は
、南本牧埠頭の2期工事で予定されている一部を営巣地として造成保護をしてください

・干潟の再生
東京湾は、昭和30年代までは、いきものの宝庫、干潟が数多くありました。しかし現
在、横浜市内には、金沢区野島の付近と鶴見川河口に小さな干潟を残すのみとなってし
まいました。生物多様性の確保のために、横浜港内に干潟を再生してください。干潟に
は、海水を浄化する、魚類等の幼生、稚仔魚を養う、渡り鳥の中継地となる、といった
様々な機能があります。環境都市横浜に、是非必要な環境です。
・内陸湿地の造成
港湾部では、内陸湿地の造成が簡易に行えます。東京港野鳥公園の湿地がモデルになり
ます。渡り鳥のシギ・チドリ、カモ類やカモメ等の利用が考えられます。カイツブリ、
バンなどの水辺で繁殖する鳥類は、繁殖場所が漸減傾向にあります。港湾部で以下のサ
ンクチュアリ(野鳥の聖域)と会わせて内陸湿地の造成をお願いします。
2.港湾部にサンクチュアリ(野鳥の聖域)の確保をお願いします。
東京都「東京港野鳥公園」、大阪市「大阪南港野鳥園」、新湊市「富山新港臨海野
鳥園」など、各地方自治体には、港湾部に野鳥公園が設置されています。横浜市には、
里山環境の保全再生の核となる施設として「横浜自然観察の森」があり、サンクチュア
リ(野鳥の聖域)として専門家が配置されて、市民に対する環境教育、環境調査、環境
管理が行われています。また沿岸部には、野島公園や長浜公園野鳥観察園といった海岸
部の自然を一部残した公園が設置されているものの、拠点施設の設置や専門家の配置は
ないため、市民の環境教育の場としての利用や環境の管理は効率的に行われているとは
言えません。また、断片化した海岸環境をネットワーク化して復元していくこともでき
ていません。市の海岸の中心である港湾部に、こうした拠点施設を設置すれば、市民の
海の自然への理解と関心は高まり、また海岸環境の再生の核とすることができます。是
非港湾部に、海の保全再生のためのハードとソフトを兼ね備えたキーステーションを設
置するようご検討ください。以上。

(横浜市の回答) 
南本牧ふ頭は、物流需要に対応した次世代高規格コンテナターミナルを形成するととも
に、新たに廃棄物処分場を整備していくなど、限られた埋立面積を有効に利用していく
必要があります。そのため、鳥類の営巣地については、これらの配置の支障とならない
よう、緑地計画の中で、造成の可能性などについて検討してまいります。干潟や湿地な
ど鳥類を含む多様な生物生息環境については、港の機能と整合を図りつつ、港湾施設の
再整備や、土地利用変化に合わせ、整備の可能性など研究してまいります

●横浜市環境月間パネル展に参加
6月12日(日)午前10時~午後5時まで
場所:横浜市新都市プラザ(横浜駅東口:横浜そごう地下入り口前)
環境保全団体20団体が展示を出します。神奈川支部でもスペースをもらい展示を出し
ました。

●モニタリングサイト1000に参加
環境省が設置している、モニタリングサイト1000に神奈川県では以下の調査地区
に関して調査協力する事になった。
140-009 (宮が瀬周辺)コナラ林など
140-016 (札掛周辺)ブナ林、ミズナラ林など
140-039 (箱根周辺)ブナ林、ミズナラ林など
140-028 (横浜自然観察の森周辺)コナラ林など

●タゲリの一斉調査について
タゲリ米に関連して、タゲリ調査を茅ヶ崎で続けています。2005年は、全県で一
斉調査を行う事になり、茅ヶ崎市の地元団体に協力して一斉調査を行った。

●鳥獣保護区更新に関係する意見を提出
 神奈川県緑政課から依頼があった、鳥獣保護区更新に関して以下の例を掲載する。
(資料):神奈川県に提出した意見
二子山鳥獣保護区の存続期間の更新に係る意見
平成17年7月26日付け緑政第117号で照会のあった次の鳥獣保護区の指定期間の更
新こについての賛否および意見 は次の通りです。
1.賛否 賛成
2.意見および理由の要旨
  神奈川県内は近年急速に都市化が進み、鳥獣類の良好な生息地は失われる一方です
。一方で都市化された環境に生活する住民からは、自然とのふれあいを望む声が高まっ
ており、鳥獣類の多く生息する自然度の高い緑地を確保することは環境行政の重要な課
題であると思われます。そうした施策の一環として鳥獣保護区の意義は今後ますます大
きくなっていくと考えられます。さて、二子山鳥獣保護区は、三浦半島を代表する良好
な森林に存在する重要な保護区です。クロジ、マヒワなどの森林性鳥類、水辺を利用す
る鳥類が記録されている。近年オーバーユースが問題になり、地元市町村と連携して保
護区の機能の低下を防ぐようにな利用計画を立てる必要がある。また、国営公園化構想
などの開発計画に対しては、神奈川県の代表的な自然環境を護る立場として、県行政の
立場を期待したい。

●横浜市栄区(仮称)上郷開発に関係して。
 横浜市の上郷開発は、市街化調整地域で予定されている近年に無い大規模な開発です
。神奈川支部では、地元団体などと協力して開発の内容にういて意見を提出しました。
(資料)横浜市に提出した要望1
     2005年8月13日

横浜市長中田宏様
        日本野鳥の会神奈川支部
        支部長 鈴木茂也

横浜市栄区上郷開発事業について(要望)

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.
さて、栄区で予定されている(仮称)上郷開発事業は、昭和63年に環境影響評価が行なわれて以来、未着手になっています。この地域は、横浜市の緑の七大拠点の円海山に隣接している、重要な緑地です。環境保全の立場から、以下の件について要望いたします。
1.横浜市環境影響評価条例に基づいて、環境影響評価を実施して下さい。
 約20年前の環境影響評価では、社会環境・自然環境の両面で大きな違いがあります。
2.絶滅危ぐ種の生息について、調査に基づいた保全対策を実施して下さい。

(資料)横浜市の回答
                        平成17年10月4日
日本野鳥の会神奈川支部支部長 鈴木茂也様
 横浜市長 中田宏
横浜市栄区上郷開発事業について(回答)
さきに要請(平成17年8月15日)のありましたことについて、次のとおりお答えし
ます。
1.環境影響評価の再実施について
 横浜市環境影響評価条例では、市長は、事業者から報告書の提出を受けたことについ
て公告を行った後、対象事業が着手されるまでの間に、対象地域の状況に著しい変化が
あった場合で環境保全上必要があると認められときは、環境影響評価その他手続の全部
又は一部の再実施を、事業者に対して求めることができるとなっています。上郷開発事
業については、対象地域の状況の変化、環境保全上の必要性について検討してまいりま
す。
2.絶滅危惧種の保全対策について
  絶滅危惧種の保全対策については、神奈川県に相談するように事業者に伝えました


(資料)横浜市に提出した要望2
        2005年12月21日
横浜市長中田宏様
     日本野鳥の会神奈川支部支部長 
鈴木茂也
横浜市栄区(仮称)上郷開発事業の環境影響評価について(要望)
 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます.さて、栄区で予定されている(仮
称)上郷開発事業は、昭和63年に環境影響評価が行なわれて以来、未着手になってい
ます。この地域は、横浜市の緑の七大拠点の円海山に隣接している、重要な緑地です。
環境保全の立場から、以下の件に
ついて再度要望いたします。
1.横浜市環境影響評価条例に基づいて、環境影響評価を再実施して下さい。
理由)
・新・生物多様性国家戦略が批准されて、昭和63年と現在の生物多様性の保全に
ついての市   民の意識や、社会的・科学的な要因に大きな変化があります。
 ・現在作成中の神奈川県のレッドデータブックでは、鳥類の絶滅危惧種が2倍以上
の種数に増   加している。他の分類群でも同様な傾向が見られる。
・交通網に関して、環状2号線、環状3号線の当該開発区域での整備状況が進捗し
ているので、   交通予測など社会的な変化が大きい。

(資料)横浜市の回答
                         平成18年1月27日
日本野鳥の会神奈川支部支部長 鈴木茂也様
横浜市長 中田宏
横浜市栄区(仮称)上郷開発事業の環境影響評価について(回答)
さきに要請がありましたことについて、次のとおりお答えします。
 平成18年1月16日、本件事業者である東急建設(株)から、「本件事業について
、環境影響評価手続きの再実施を求めていた市民に対し、新規に手続きに着手する予定
であることを伝えた」
旨、連絡がありました。

(資料)神奈川県に対して提出した要望
                         2005年12月21日
神奈川県知事松沢成文 様
   日本野鳥の会 神奈川支部支部長
 鈴木茂也
上郷開発事業(仮称)における環境調査の実施について(要望)
 拝啓 知事におかれまして、日頃より県民の立場に立った県政を推進していただき、
まことにありがとうございます。さて、掲題の件につき、下記のとおり要望いたしたく
、よろしくお願いいたします。
要望内容
1.横浜市が開発誘導を行っている上郷開発事業(仮称)について、希少種の生息調査
を実施するよう、開発業者に対して指導及び助言すること。
要望の主旨
 過日、当会より横浜市長宛に要望書を提出し、当該開発事業について、環境アセスメ
ント及び希少種の調査等を実施するよう求めました。その回答の中で、希少種の調査に
ついては、事業者に対し、「県に対して相談するよう指導する」という主旨の回答を得
ました。そこで、当会としては、今後当該開発予定地区の都市計画の変更について、指
導及び責任を有する神奈川県として、事業者に対し、十分な環境調査を実施するよう指
導していただき、要望書を提出します。当該開発事業は平成4年に1度環境アセスメン
トが実施されております。しかしながら、そのアセスメントより十余年の時間が経過し
ております。当該開発地区を取り巻く自然環境も社会環境も当然変化しているものと認
識し、その変化の内容を把握することが必須であると考えます。その中でも希少種につ
いては、より慎重に生息状況を確認することが求められます。当時の環境アセスメント
の結果を根拠に、今回の事業計画を検討することは、無謀と言わざるを得ません。知事
就任時のあいさつで、知事は環境政策の大切さを説き、重要な課題として位置づけてお
られます。ぜひとも知事として指導力を発揮され、今回の当該開発事業が未来への負の
遺産とならぬよう、大局的な立場より指導を行っていただきたく重ねてお願いいたしま
す。

●平塚市西部丘陵の土地計画について
 「平塚ばらの丘ハイテクパーク構想」に関係して以下の要望書を提出した。
(資料)平塚市に提出した要望  

                                   
20050710
平塚市長殿
    日本野鳥の会神奈川支部支部長
   鈴木茂也 
平塚西部丘陵の土地計画に関して(要望)
一、環境政策課で行われた自然環境調査に於いて、特に重要と結論付けられた地区につ
いては、横浜市の市民の森制度を参考に、保全協定を地主との間に締結する。
二、自然環境調査の結果に基づき「平塚ばらの丘ハイテクパーク構想」の見直しをする
。すなわち、既に建設済み或いは進行中の 神奈川大学、神奈川県総合研究所、五領ヶ
台地区の各クラスター等は除き、未着手の各クラスターは構想から除外する。未着手の
クラスター以外が完成した時点で、この構想は完了されたものとする。       
     
三、動植物の生態に悪影響を与える恐れが強い、湘南丘陵幹線(仮称)と八幡神社土屋
線の建設計画を廃止し、今後ここに幹線道路を建設しない。 
四、本文の主旨に従い県民の憩いの為に西部丘陵を利用する構想を新たに創り、これを
実現する。
 御市に於きましてはますますの御繁栄をお喜び申し上げます。平塚市の北西部、土屋
地区と吉沢地区は特に自然が豊かです。日本野鳥の会神奈川支部では、同地区で探鳥会
と称する野鳥観察会を開き、会員を中心として、広く県民の方に自然に親しんでもらっ
ております。両地区はアオバズク、オオタカ、オオルリ、コサメビタキ、サシバ、サン
コウチョウ、サンショウクイ、ヒバリ、フクロウ、ミゾゴイ、ヤブサメなどの絶滅危惧
種、希少種、減少種の営巣、ねぐら等の利用がなされるなど、貴重な自然が残されてい
ます。この地区の自然は平塚市民だけで無く、神奈川県民の財産でもあります。生物界
の頂点に立つ鳥類の種が豊かな事は、その他の動植物、菌類等も豊かである事を意味し
、一度この豊かな自然が破壊されると元には戻せない事も事実であります。
 さて、平塚市には、「平塚ばらの丘ハイテクパーク構想」と称する都市計画が有りま
す。これは、土屋、吉沢両地区に自然を残しながら研究所や住宅等を建設し、自然と生
活と産業のバランスのとれた街づくりを行うという計画であります。開発候補地はクラ
スター分けをされ、広い緑地面積を確保するなど、自然に配慮した開発計画になっては
おります。この構想に従い、既に神奈川大学や神奈川県総合研究所が建設されています
。しかし、多くのクラスターは未着手になってお
ります。これは経済の長期低迷或いは住宅の地価等の理由によります。また、湘南丘陵
幹線(仮称)、八幡神社土屋線を建設する計画が有ります。これは、地域の発展を支え
るために、交通網を整備する計画になっています。しかし、幹線道路を建設すれば地域
が発展するかというと、一概には言えません。むしろ、この地域の持つ自然という大き
な財産を失うというデメリットの方が大きいのです。私達は、この地域の持つ自然を、
広く県民の憩いの場として利用していただきく構想を提案します。今後、高齢化が進む
中で憩いの場としての自然の役割はますます大きくなると予想されます。県民の憩いの
場といっても、リクレション施設の建設とか、周辺の道路作りなどはあまり必要有りま
せん。探鳥会、植物観察会などの自然とふれあう機会を定期的に持つ。学校教育や企業
の研修に自然とのふれあいを取り入れる。訪問する県民の為に、自然を紹介する職員や
ボランティアを常駐させる。前述したものは、一例に過ぎませんが、このようにソフト
面での充実を図る事を意味しています。そして結果的には、この地域の発展にもつなが
っていくと考えています。この構想では、土地開発や新しい幹線道路の建設は不要であ
り、むしろマイナス要因でしかありません。現在の自然を変えない事が必要です。すな
わち、いくら自然環境に配慮しても、建物や道路を建設すれば、その土地自体は当然と
して、その周辺の緑地までも元の自然環境とは大きく異なったものになってしまいます
。つまり、建物や道路が建設される事で、地形、水流、日照、風の流れ、土質等が微妙
に変わります。菌類、動植物はその種ごとに好む環境が厳密に決まっているため、一度
環境が変わると、もはやその場所での棲息はできません。端的に申し上げますと、「平
塚ばらの丘ハイテクパーク構想」が実行され、建造物、道路等が新しくできると、アオ
バズク、オオタカ、オオルリ、コサメビタキ、サシバ、サンコウチョウ、サンショウク
イ、ヒバリ、フクロウ、ミゾゴイ、ヤブサメなどの絶滅危惧種、希少種、減少種は土屋
地区と吉沢地区から消滅する事を意味しています。
 平成十六年、十七年度に平塚市環境政策課では、土屋、吉沢地区の自然環境調査を行
こなっています。この地区を各ブロックに分け、野鳥、植物、昆虫などの調査を行ない
、ブロックごとの自然保全状況の把握を試みています。この調査に基づき、土屋、吉沢
地区の中でも特に重点的に自然を保護すべき区域が設定されるようです。日本野鳥の会
神奈川支部は、この調査に対し一定の評価をすると共に、重点地区の保護区化を強く要
望致します。

(資料)平塚市の回答
                          17平情相第2028-2号
                         平成17年(2005年)11月14日
日本野鳥の会神奈川支部支部長
 鈴木茂也様
   平塚市長 大鹿律子
        平塚西部丘陵の土地計画に関して(回答)
日ごろ市政の推進に御理解御協力をいただきお礼申し上げます。平成17年10月21日付け
にていただきました要望について、次のとおり回答します。
                   記
1.環境政策課で行われた自然環境調査において、特に重要と結論付けられた地区につ
いては、横浜市の市民の森制度を参考に、保全協定を地主との間に締結する。
・平成16年度から2か年かけて実施している西部丘陵地域を対象とした自然環境評価事
業は、自然環境の実態調査に基づき将来へ引き継ぐ施策の基礎資料とするためのもので
す。この自然環境評価調査で特に重要と評価された地区については、他の地区に優先し
て保全に努める必要があると思いますが、地主をはじめとする地域住民や既存の計画と
の調整等、様々な課題があります。今後、調査結果を踏まえ、貴重な自然の保全に向け
た施策の展開を、市民をはじめ関係者の方々と共に図ってまいります。(事務担当は環
境政策課環境対策担当)
・西部丘陵地の保全について、横浜市の市民の森制度や都市緑地法の市民緑地制度を参
考に、緑地の保全協定ができるか研究してまいります(事務担当は、みどり公園課花と
みどりのまちづくり担当)
・本市では、ここで実施している自然環境評価の結果を踏まえ、土屋地区に(仮称)自
然観察園を開設すべく、候補地の比較検討を進めています。今後、地元の御理解を得な
がら実現を目指していきたいと考えています。(事務担当は博物館管理担当)
2.自然環境調査の結果に基づき「平壌ばらの丘ハイテクパーク構想」の見直しをする
。すなわち、既に建設済みあるいは進行中の神奈川大学、神奈川県稔合研究所、五領ヶ
台地区の各クラスクー等は除き、未着手の各クラスクーは構想から除外する。未着手の
クラスター以外が完成した時点で、この摸想は尭了されたものとする。
4.本文の主旨に従い県民の憩いのために西部丘陵を利用する構想を新たに創り、これ
を実現する。
「ばらの丘ハイテクパーク構想」が目標とするクラスター開発方式による産業研究機能
の集積の実現は、現在の社会経済情勢等から大変厳しい状況にあり、また、未着手のク
ラスター計画区域内には、希少生物であるホタルなどの生息が確認されるなど、みどり
豊かな自然を保全していこうという環境意識の高まり等も勘案すると、この構想の推進
については、一定の判断をする時期にきているものと考えています。現状では、ばらの
丘構想のようなクラスター計画は 、時代のニーズや自然環境等から難しいものと認識
しています。今後は、現在実施している「自然環境評価調査」の結果を踏まえつつ、地
域の活力向上に配慮しながら、地域の恵まれた自然と調和した方向性を見出していきた
いと考えていますので、御理解をお願いします。
3.動植物の生態に悪影響を与える恐れが強い、湘南丘陵幹線(仮称)と八幡神社土屋
線の建設計画を廃止し、今後ここに幹線道路を建設しない。
・(仮称)湘南丘陵幹線については、ばらの丘ハイテクパーク構想の骨格道路として位
置付けた道路であり、ばらの丘構想同様に実現は大変厳しい状況であると認識しており
、今後は、ばらの丘構想と一体で判断していきたいと考えています。(事務担当は都市
計画課湘南丘陵担当)
・八幡神社土屋線は、浅間町(八幡神社)から南金目字西久保(土屋橋)まで延長8430
m
を昭和21年8月に都市計画道路として計画決定され、そのうち市街地の4115mが整備済と
なっています。土屋地区をはじめ、道路はあらゆる日常生活に欠かせないものであり、
また、都市の骨格を形成するもので、その役割は、都市内におけるオープンスペースの
供給、生活に必要な上下水道・電力・通信等の供給処理の収容空間、火災・災青時にお
ける被膏防止や避難路など、無限の利用価値をもつ地域の根幹的施設であり、計画に基
づき整備を進めることになっています。事業化するには様々な課題が蓄積されています
ので、この地域の整備を進めるまでには暫く時間を要しますが、本市の東西を結ぶ重要
な交通基幹として位置付けていますので、御理解をお願いします。(事務担当は道路建
設課道路計画担当)

●藤沢市清水谷戸の保全
 藤沢市清水谷戸の保全に関係して以下の要望を提出しました。
(資料)藤沢市に提出した要望
藤沢市長殿
藤沢市議会議長殿
    日本野鳥の会神奈川支部支部長
 鈴木茂也
藤沢市川名緑地清水谷戸の保全について(要望)
 藤沢市川名緑地は、市街地の中に島状に残された緑地ですが、その複雑な地形によっ
て自然度の高い状態が保たれており、自然環境に関心を持つ市民の注目を集めておりま
す。当会では、地域の鳥類相の解明を課題の一つとしておりますが、川名緑地の清水谷
戸部分の鳥類相については、1992年から1993年にかけて沼里和幸氏が行った調査と、20
01年から2002年にかけて石川祐一氏が行った調査について、その結果を研究年報誌上で
公表しました。これらの調査によると、当地で記録された鳥類は合計62種となっており
、市街地の中の緑地としては豊かな鳥類相を持っていると判断できます。特に、アオゲ
ラ・エナガ・ヤマガラなどが生息することは、丘陵地の広い面積の樹林に匹敵する森林
性鳥類の生息場所となっていることを示しています。また、モズ・ホオジロの生息が見
られることも市街地の中にある緑地としては貴重なことです。このように、豊かな鳥類
相を持った清水谷戸ですが、その保全については、留意すべき点が多いと考えられます
。まず第一にあげられるのは、川名緑地全体としてこれ以上樹林地の面積が減らないよ
うな配慮が必要だということです。住宅、道路などによって緑地が分断されるようなこ
とがあれば、鳥類に対しては実際の樹林地の面積の減少以上の大きな影響を与えること
が予測されます。また、鳥類の生息環境としてみた場合には、樹林地だけではなく、水
田や畑の農耕地も重要な役目を果たしており、緑地内および隣接地の農耕地の保全は重
要な意義を持っています。
 今回、谷戸の入口部分が駐車場として利用されると聞き及びました。一時的な措置と
のことですが、長期間にわたって利用が続けられれば、農耕地の面積を減少させ、鳥類
相の対してマイナスの影響を及ぼす恐れがあります。以上のような観点にたって、以下
の点を要望いたします。市街地に残された貴重な緑地の保全のためにご配慮をお願いい
たします。

1.市街地の中に残された貴重な緑地として、川名緑地の保全について最大限の努力を払
ってください。
2.清水谷戸入口部分の駐車場としての利用について、一時的なものにとどめ、なるべく
短期間の内に旧状に復すよう、関係者への指導をお願いします。

●横浜市水域生物相調査に参加
 横浜市が行う、水域生物相調査に鳥類部門で参加しました。現地調査は、金沢区の平
潟湾周辺を
担当しています。調査の中で横浜市の河川環境の保全する提言もする予定です。

●横浜市俣野・下飯田遊水地保全再生の取り組み
 横浜市泉区境川の俣野・下飯田遊水地の保全再生について、神奈川支部では2回にわ
たり要望書を提出しました。湿地環境保全への取り組みは、まだ十分ではありませんが
、支部会員を中心に毎月の野鳥生息状況調査を行っています。今後も、神奈川県藤沢土
木事務所への野鳥生息地としての配慮、生息環境として整備要望等を行っています。

●丹沢大山総合調査に協力
 神奈川県の丹沢大山総合調査の生き物チーム「鳥班」に神奈川支部の会員が調査に協
力しています。調査結果は、丹沢大山の自然再生事業につながる予定です。

●神奈川県レッドデータブック改訂に向けて
 神奈川県立生命の星・地球博物館で作成中のレッドデータブックの鳥類部門を支部の
会員を中心に協力を行っています。残念な事にレッドデータに掲載する鳥類は増加する
傾向にあります。神奈川県の自然再生を達成してレッドデータ生物の数を減少させたい
物です。そのためには、神奈川支部などのNGO活動の発展が重要と考えます。会員の
皆様の協力をお願いします。
 ☆2006年7月に発刊させました。神奈川県立生命の星・地球博物館で販売してい
ます。

●ガンカモ調査を実施
 神奈川県内のガンカモの個体数の動向を調べるために、県内約70ヶ所の調査を行い
ました。ガンカモ類約1万5千羽が記録されています。県内の水辺環境の再生に重要な
データになります。神奈川支部から調査員約100名の協力がありました。